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イギリスですらペイオフできず

ラビ・バトラさんの予言

ラビ・バトラさんは、1978年に「資本主義と共産主義の崩壊」という本で以下のとおり社会循環の法則をもとにして、世界情勢を予測しました。「遅くとも西暦2000年までに共産主義は、断末魔の苦しい革命を経て終わりを迎え、2000年代の最初の10年に資本主義は崩壊する」

社会循環の法則図

 当時、誰もがソ連の崩壊を信じることができませんでしたが、1989年11月にベルリンの壁が崩壊し、ソ連は崩壊していきました。では、もう一方の資本主義はどうでしょう? 1990年代、冷戦終了と第一次湾岸戦争勝利により、アメリカが唯一の超大国とか、新世界秩序など言い、アメリカの力が世界中に広がっていきました。日本が昭和のバブル崩壊で苦しむ中、我が世の春を謳歌していました。1997年からのアジア通貨危機の後、アメリカに還流したマネーでITバブルが形成されました。このあたりからアメリカ社会で、貧富の格差が広がり、富裕者はさらに富を求め、貧しい人達に分配されていた富を搾取するようになりました。ITバブルが崩壊した後、住宅バブルと石油バブルが膨らんで今に至っています。2006年10月ごろから住宅バブルに陰りが出てきました。日本の土地が永久に右肩上がりで価格上昇を続けることができなかったように、アメリカやイギリス、オーストラリアやニュージーランドなど、住宅の価格上昇がピークを迎えた。借金で不動産を買い、不動産の価格上昇で資産を増やすというやり方が続かなくなってしまった。歯車が逆回転を開始した。2007年8月になるとアメリカの住宅ローンを提供する会社が何社か破綻してきた。格付け会社がトリプルAをつけている債権なのに破綻してしまうファンドも出てきて、信用収縮を起こして、世界各国の中央銀行が大量のマネーを供給して、資金繰りをつけているものの、損失はどんどん拡大していて、どれ位あるのかわからない状態です。末期ガンで苦しんでいる患者にモルヒネを投与しているようなもので、問題解決はできそうにありません。ラビ・バトラさんは講演会や著書で「資本主義は花火の如く崩壊する」と言っていましたが、今年8月以降の動きを見ると、夏の夜の花火大会みたいに急速にいろんな出来事が起こっています。2010年まであと2年あまり。富裕者が貧しい人を搾取する今の形の資本主義が崩壊しているかもしれません。

イギリスですらペイオフできず全額保護した

1990年代後半、日本の金融機関は信用組合から始まって、北海道拓殖銀行や日債銀のような大手銀行まで経営破綻し、何度も取り付け騒ぎが起きました。最初は金融機関でお金を出し合い、預金を全額保護してきました。大蔵省主導で混乱を最小限にする動きを海外の連中は、さんざん非難し、ジャパンプレミアムというペナルティをつけていた。あれから10年、アメリカもイギリスも自国の金融システムがグラグラしてくる中で、自分達が主張している市場主義による「ペイオフによる自己責任」をいまこそやっていただきたいものです。・・・と思って、生暖かい目でみていたら、9月14日、イギリスの金融機関、ノーザン・ロックで取り付け事件が発生するに至り、金融当局は「預金の全額保護」を宣言する事態に追い込まれてしまった。

ノーザン・ロックの預金、英政府が異例の全額保証
 【ロンドン=中村宏之】アリステア・ダーリング英財務相は17日、資金難に陥り、英中央銀行のイングランド銀行(BOE)が緊急資金支援に乗り出した英中堅銀行ノーザン・ロックの預金について、政府が全額保証すると発表した。通常、英国の預金保険制度の対象となる預金は3万5000ポンド(約800万円)までで、異例の措置となる。金融機関を監督する英金融サービス機構(FSA)は「ノーザン・ロックには支払い能力が十分あり融資先も優良」と発表しており、さらに全額保護を表明することで、預金者らの必要以上の不安心理を和らげる狙いがあるとみられる。ノーザン・ロックを巡っては、各地の支店で預金者が列を作って預金を引き出すなどの動きが広がっている。
<英国>住宅金融大手の預金全額保護 金融市場に1兆円供給
 【ロンドン藤好陽太郎】米国の低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題をめぐり、英政府は、中央銀行のイングランド銀行から緊急融資を受けている英住宅金融大手ノーザン・ロックの預金を全額保護することを決めた。英政府は他の銀行が危機に陥った場合も、資産の健全性を前提に全額保護することを検討し始めた。英国での預金全額保護は極めて異例。同時にイングランド銀行は19日、短期金融市場に44億ポンド(約1兆円)の資金を供給するなど英金融当局一体となった緊急措置に乗り出した。 ノーザン・ロックは英短期金融市場の金利が急騰したあおりで資金調達が困難になり、14日から緊急融資を受けている。英国では預金は2000ポンド(約46万円)しか全額保護されず、それを超える預金は3万3000ポンド(約760万円)までの9割が保護されるだけ。このため、ノーザン・ロックの預金は一気に8%が流出し、他の銀行の株価も最大3割超、暴落するなど「金融危機が連鎖しかねない事態」に陥った。 英政府は危機の連鎖を回避するため、まずノーザン・ロックの預金を全額保護する緊急措置を決定。更に、資産の健全性を条件に他の銀行の預金の全額保護も検討している。こうした緊急措置を受け、銀行株は19日、上昇に転じている。

本来であれば、債務超過になった銀行を潰して、ペイオフを粛々と行えばよいのですが、預金者は手元にお金が来るまで帰りませんでした。お金をどんどん刷って刷って供給するしかないわけです。そうすると、やってくるのはハイパーインフレとなるわけですが、石油やGOLDを始めとする実物資産にマネーが逃げて、さらにインフレに拍車をかける。混乱を収めるには、多くの血が流れるのは避けられません。日本の場合、バブル崩壊が始まってから銀行が破綻するまで5年くらい時間的余裕がありましたが、今回は1年経過していません。欧米諸国はドッグイヤーだから事態が進む速度が速いという側面もあるのでしょうが、かつての日本みたいに、穴を掘って簿外に隠すということができないため、損失を隠せず、仕方なく他の資産を売却して穴埋めをしたら、別の会社が損失を出すといった、核分裂反応みたいに損失がどんどん広がるような印象です。いずれ落ち着いたら21世紀のペコラ委員会のように、原因はどこにあったのかということを調べて、再発を防止する仕組みを作ることになるのでしょうが、資本主義の仕組みにいろいろ足かせをして暴れるのを抑えるようにしないと、同じような悲劇は繰り返されるだろう。チューリップバブル以降、何度もバブルができては崩壊したのだから。

橘みゆき 拝

資本主義の秘密

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