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名将たちの教育論 3

第1章 軍人たちの教育システム

第3節 「武士らしく」の教育

世界の軍人には、それぞれ祖国の風格を備えている。イギリス人は"海賊的"であり、フランス人は"芸術的"であり、ドイツ人は"規律的"である。ロシア人が通れば重い足音が聞こえる。

 このように民族にはカラーがある。日本のカラーは「大和心」であり、軍人であれば「大和魂」である。

「敷島の大和心を人問わば、朝日に匂う山桜花」(本居宣長)

「かくすれば、かくなるものと知りながら、止むに止まれぬ大和魂」(吉田松陰)

 大和心の特色は、"もののあわれ"であって、高い真直ぐな心を持って正義を貫こうとする勇気であり、潔よさ、廉恥と思いやりの心(禮)であろう。このような心情は、国家の歴史によって育成されたものである。

 世界の国々は、その国の歴史の根源を非科学的な神話においている。なぜなら神話は科学的ではないが、基本的な歴史の真実を伝えるものを含んでいるからである。神話を否定すれば人間の歴史も現実の諸活動も否定することになる。例えば神話を否定すれば十字軍活動は意味をなさない。

 世界の神話は、初めに神ありきで神が天地を創造したとしている。ところが日本の神話は、初めに宇宙ありきそこから主神が現れて天地を創造し、八万の神々を従えて地上に日本国を創設した。そしてその天孫降臨の曾孫が紀元前660年に神武天皇として即位し、日本となった。だから外国の神話を根拠にした見方で日本国を論ずることは間違いである。人口学的に計算すれば、日本人はすべて天皇家の一族に連なっていることになる。したがって日本では神が人間になったり、人間が神になったりする。神とは日本人祖先であるから、日本人の人権は権力者から奪取したものではなく、祖先から自然に譲られ天賦の人権である。そしてそれは第一に、同じ家族としての「平等」である。ただし人間の条件を失えば、「非人(間)」となる。

 この国柄に育まれた大和魂が、仏教の禅の心と結び付いて「武士道」となった。

「武士道とは、死ぬことと見つけたり」

の言葉で有名な『葉隠』(山本常朝1716)も『武道初心集』(大道寺友山1639―1730)も武士とは一死を投げ打って公正を追求するものであると説いている。日本軍隊における教育の出発点はこの「武士らしさ」がスタートである。

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