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ゾーニングの重要性




前回の連載コラムでは、『気持良い』をキーワードとした『ランドシャフト』を環境評価に活用してロタ島に真の楽園を創ることを提案した。
今回は、より基本的なゾーニング(土地利用法)について考えてみたい。

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1.楽園ではどこで何をしてもよいのか?

楽園には厳しい掟も厳密な規則もない。それは住民がやって良いこと良くないことを自ずから分かり当たり前のこととして守るからだ。現実のロタ島でそれを期待したらどうなるであろう? 好き勝手な所に家を建て、最も眺望のよい場所には大きなホテルが建ち、島のあちこちに港が造られ、その港の周りには工場などの大きな建物が建ち並び、あちこちに細切れの農地が開かれ、道路がジャングルを縦横に突っ切り、村のど真ん中でゴミを燃やし......など、かなりひどいカオス(渾沌状態)を想像できる。これでは楽園ロタ島の自然はアッと言う間に破壊され、多くの動植物が絶滅の危機に瀕することになるだろう。そしてそれは、最終的に島民にとって幸せに生活できる状態ではない。

どうやら(残念ながら)土地利用にある程度の原則とルール(規制)が必要なようだ。

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2.ゾーニングはどうしても必要だ

そこで重要になるのが、土地の利用法をあらかじめ決めることだ。つまり『ゾーニング』である。これは、どこの土地を何に利用するのか、または利用しないのかを、『経済と環境と住みやすさの3面から考え、最も効率的な土地の利用法』を決めることだ(写真)。
土地利用は我々の豊かな生活を実現するためだが、それが自然や環境に大きなインパクト(打撃)やダメージ(破壊、損傷、危害)を与えては、最終的には我々自身への不都合となって戻ってくる。だから、自然環境に配慮するのは、単に動植物のためだけではなく、我々の子孫も含めた我々自身のためなのだ。




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3.『負荷は集中、対策は分散』という原則

経済と環境と住みやすさの3面から考えた、最も効率的な土地の利用法』とは一体どんなものなのだろう?

我々の日常の活動や行為は、どんな物であれ必ず環境へ影響を与える。それが環境に悪い影響を与える場合もあれば、逆に良い影響を与える場合もあるだろう。(この良い悪いとは、人間にとって都合が良いか悪いかという意味。)環境に悪い影響を与える物を『環境負荷』といい、環境に良い影響を与える物を『環境対策』と言う。環境負荷は『環境破壊(ダメージまたはインパクト)』につながり、環境対策は『環境貢献』となる。

我々にとって困るのは環境負荷ではなく『環境破壊』であり、我々が求めるのは環境対策ではなく『環境貢献』の方なのだ。言葉を換えると、いくら環境負荷が大きくても、環境破壊が大きくないならそれほど悪いことではない。逆に、いくら大々的な環境対策を実行しても、それほど環境に貢献しないなら、それは自己満足に過ぎないのではないか。

そこで、『大きな負荷でも自然環境の受けるダメージがそれほど大きくないよう』に、また逆に、『できるだけ少ない対策で自然環境に大きな貢献をするよう』に考えたい。



そんなうまい話があるのか? ......あるのだ!
『我々の行為』とそれが『環境に与える影響』の関係が比例しないことを利用するのだ。ある場所で、環境負荷を増やしていくと自然環境の受けるダメージはそれほど増えなくなる。同様に、ある場所で環境対策をどんどん増やしても、環境への貢献はしだいに上がらなくなる。これが『影響/効果のS字カーブ』と呼ばれるものだ(グラフ)。



この関係はこの世の中のあらゆることに通用する、普遍的な原則のようだ。

例えば、スポーツの練習と上達の関係。
始めたては少しも上達しないように感じるが、そのうちに練習すればするほどどんどん上手くなる。しかし時と共に、同じように練習していてもしだいに上達しなくなる。
例えば、クルマの価格と性能の関係。
低価格のクルマの性能は五十歩百歩だが、その上のクラスではちょっと奮発するとずっと性能の良いクルマが手に入る。しかし、高額のクルマになると、倍くらいの価格差があってもそれほど性能が変わらない(グラフ)。
皆さんも似たような経験がおありなのではないだろうか。



環境でも同様のことが言える。人間の行為が環境へ与える影響は、行為がとても小さなうちは行為を増やしても影響が増えない。さらに行為を増やすと影響が一気に増えるが、しだいに増えなくなる。環境負荷なら汚染や破壊が増えなくなり、環境対策なら効果が上がらなくなるという意味(グラフ)。



つまり、環境負荷や環境対策には効率が最も高いピーク(山)があるのだ。このピークでは、小さな環境負荷で汚染や破壊などの大きな環境のダメージがあるので、我々にとって大変不都合な点だ。できるだけ、このポイントを避けたい。逆に、少ない環境対策で大きな効果(環境貢献)がある。つまり、費用対効果が大きいので、我々にとって好都合だ。だから、環境対策はここを目指す(グラフ)。



原則:負荷は集中、対策は分散

環境に悪い影響のある行為、つまり環境負荷を分散させると、ひとつずつのダメージはそれほど大きくなくても、それらを足し合わせた環境全体でのダメージは大変大きくなる。だから、自然にとっても我々にとっても大変不都合だ。ところが、環境負荷を同じ場所に集める(集中させる)と、環境の受けるダメージがそれほど増えない。例えば、開発行為はあちこちに分散させずに、一ヶ所に集中した方が良い。また、汚染物質などを地球環境にばらまいて分散させるのもダメ。一ヶ所に集中させておくと、対処もしやすい。
これが『負荷は集中』という意味だ。

逆に環境に良い影響のある行為、つまり環境対策は一ヶ所だけに集めて徹底的にやっても効果がそれほど上がらなくなる。つまり環境全体への貢献が上がらなくなるので損だ。ところが、ほどほどの対策をあちこちに分散させると、それぞれの効果が足し合わされて、全体としては大きな貢献が得られる。だから、とても好都合なのだ。例えば、自然保護ではある狭い地区だけを徹底的にやるより、ほどほどの保護を広い範囲にする方が良いのだ。また、日本だけがしかもCO2対策だけを徹底的にやってもダメで、世界中の国々があらゆる分野での環境対策をほどほどにやった方が、同じ投入労力、同じ消費エネルギー、同じ費用でありながら、地球環境全体への効果はずっと大きくなる。
これが『対策は分散』という意味だ。



そして、この『負荷は集中、対策は分散』原則を土地利用に応用すると、環境負荷となる市街地は集中させ、環境対策となる自然保護は広く分散させると良いことになる。



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4.人間の住む場所はコンパクトに

ここで、市街地が自然環境へ与えるインパクトについて考えてみよう。市街地は自然環境にとっては負荷となる。『負荷は集中』すると良いことを学んだ。これはどういうことなのか?

我々は豊かな生活のために土地を利用する。同じ土地を利用しながら、やり方によって、周辺の自然環境へ与えるインパクトやダメージは違ってくる。我々が必要なのは土地の広さ(面積)だ。ところが、周りの自然環境へ与えるインパクトは、土地の周辺部の長さで決まる()。



利用する面積を確保しながら、できるだけ周辺の長さを短くすればよいわけだ。市街地が一つだけの場合は丸くすれば、周囲長が最も短くなる。
では、4つの市街地がある場合はどうだろうか?(図3枚)。





4つの市街地をバラバラに分散すると、周囲へのインパクトとなる周囲長が最も長くなる。市街地を一ヶ所にまとめると周囲長は半分に減る。これが『集中化』。さらに上へ積み重ねると、さらに周囲長が減って、はじめの1/4になってしまう。これが『高密度化』。つまり、この結果が『コンパクト・シティ』である。もちろん、ロタ島に高層建築はそぐわない。だから、これは平屋をだだっ広く並べてはならないという警鐘と理解したい。

日本の首都圏などは、低密度の市街地が地平線の彼方までだらだらと広がっている。これなど集中高密度化された『コンパクト・シティ』の正反対の状態だろう。環境、経済、住みやすさの3面全てにおいて効率が悪い。日本の大都市の都市計画の問題を考えるのは今回のコラムの主旨ではない。しかし、その解決にも近自然学が使えることは言うまでもないだろう。

負荷集中の原則が重要なことは、家を建てる場合も全く同じだ。
人間の住む家も自然環境にとっての負荷となる。よって、あちこちバラバラに分散せずに、一ヶ所に集めて集中し(団地)さらに高密度化する(集合住宅)と、環境と経済の両面から良い()。もちろん住みやすさという要素も大事なので、国民性に合った適度な集中と高密度化という意味だ。



自然環境へのインパクトを減らすという環境面だけではなく、市街地や家のインフラ整備が楽で安上がりになるという経済的なメリットも大きい。つまり、住みやすい街や家が環境負荷もそれほどかけずに、しかも安価に造れるのだ。

実際に、ロタ島でもこの『負荷は集中』→『市街地は集中』という原則は守られているように見える(写真)。これはロタ島だけの特殊なことではなく、エネルギーも大型の建設機械もなかった昔は、ごく当たり前に効率の良さを求めたからだ。



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今回はゾーニングの重要性の前半として、市街地は集中させると、我々にとって都合が良いというお話をした。次回の後半では、逆に自然保護は分散させると良いということから発展して、ロタ島でのゾーニングにおける近自然学からの提案を試み、さらに、ロタ島におけるエコヴィレッジについてより具体的に考えてみよう。


2006年12月6日、スイス近自然学研究所にて

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今回は、連載コラムからのつづき。ロタ島でのゾーニングの提案を試み、水素の島を目指す『アクエイリアス・プロジェクト』について考えてみたい。私のロタ島に関する連載コラムの最終回となる。


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5.自然保護は分散して広くネットワーク化

市街地など環境負荷は一ヶ所に集中すると自然環境の受けるダメージが小さくなる。逆に、自然環境のための対策は、一ヶ所一分野だけで徹底的(集中)にやっても努力の割に効果がそれほど上がらず、従って環境全体への貢献は少ないことをお話した。自然保護などはその好例だ。ほどほどの保護で良いから、できるだけ広範囲に広げて分散させネットワークする方が、徹底的な保護を極く狭い範囲だけでするより、ずっと大きな効果が得られる。もちろん、徹底的な保護を広範囲にとれるのが理想であることは言うまでもないが。

現在、ロタ島にはウェディング・ケーキ・マウンテンの他に、2つの保護区がある。ひとつは緩い保護ながら比較的広い面積を持ち、ロタ島最高地点であるサバナ山(標高495m)を含む高原のサバナ地区(写真)。もうひとつは、かなり徹底しているが狭い範囲のバード・サンクチュアリだ(写真)。





この3つの保護区をロタ島の地図上で見ると、あまりに少なくしかも分断されていることが分かる(地図)。これでは自然環境への貢献はあまり大きくないと言わざるを得ない。(現状ではその間の自然が豊かなので全く問題ないのだか、将来どうなるのかは分からない。)



これでは、ロタ島の素晴らしい自然環境を末長く守るためには全く不十分だ。自然保護区はより広くとり、さらにそれぞれをネットワーク化したい。特に鬱蒼(うっそう)としたジャングルが手付かずのまま残っているロタ島東部地区は是非保護したい(写真)。また、素晴らしい海岸線と海中のダイビングスポットも守りたい(写真)。ウミガメが産卵する(らしい)砂浜は、人間を近づけない厳重な保護区とする。さらには、ロタ島北東部の岩盤が浸食されてできた絶壁の海岸線も、ダイナミックで素晴らしい景観だ(写真)。





いずれにしても、緩い保護でよいから、現在よりもっと広い地域をカバーし個々の地区をネットワークするような保護区を設定したい。しかもそれは海岸線と沿岸の海中も含める(地図)。緩い保護というのは、場所や状況によっては自然環境に配慮した農林水産業や観光などの持続利用を認めるという意味だ。



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6.近自然学からのゾーニング試案

土地利用のためのゾーニングには、建設許可地区(宅地)、公共施設、公園、農地、森林、道路、空港、港、送電線、パイプライン、ゴミ処理場、河川湖沼、リクリエーション地区、自然保護区などが規定されるのが一般的だ。



しかし、今回のコラムではそこまで厳密に考える必要性はないだろう。最も重要なのは、ロタ島において、どこを人間が利用し、どこを自然のために確保するかの線引きだ。

今ロタ島で人間が利用している場所を地図上で見ると、飛行場やシナパル村のある中央部、砂浜のビーチとホテルのある北部海岸沿い(写真)、そして南北2つの港とソンソン村のある西部に偏っていることが分かる(地図)。




そこで、現状での土地利用を尊重して、島民の豊かさと自然環境の両方のために、以下のようなゾーニングを提案する(地図)。



できるだけ広い地域を自然保護区とし、人間の利用をコンパクトにまとめた。人間が利用する場所でも、野放図に建物や道路を造ってよいわけではなく、ここでも『負荷は集中の原則』が生きていることを忘れてはならない。

自然保護区には数段階の保護レベルがあり、ウェディング・ケーキ・マウンテンやバード・サンクチュアリのように、全く人間を入れない厳格なものから、サバナ高原のように、持続利用を認める緩いものまで色々な段階がある。
例えば、環境に配慮した有機農業などであれば、場合によっては保護地区の周辺部で許されることもあり得る。それに環境に配慮した有機農業なら、ロタ島の売りになる可能性も大きい(写真)。素晴らしい自然が特徴であるロタ島では、環境配慮は絶対条件なのだから。



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7.提案:『保護候補リスト』を作る

ゾーニングにより、できるだけ集中した土地利用をし、反対にできるだけ広い範囲の自然やランドシャフトを守る。しかしそれだけではまだ不十分だ。知らないうちに多くのかけがえのない物件が壊されてしまう危険性を払拭できない。

そこで、スイスで成功している『保護候補リスト』を提案したい。

自然、動植物、地形、地域、景観、建物、文化......などがその対象となり、保護したいと思う具体的な物件をどんどんリストアップしてしまう。例えばスイスでは、1本の大木、レンガ積みの煙突、山並み、見晴らし、森の小道、せせらぎ......などもこの保護候補リストに載る。『保護候補』リストであって、『保護』リストではないことに注目していただきたい。今までは保護リストであった。保護するためにはそれなりの調査や検証が必要で、そうすると時間とお金がかかる。つまり時間的金銭的な効率が悪い上に、検証している間にどんどん壊されてしまいかねない。そこで、『保護候補』をリストアップする。これには検証が不要だ。しかし、この保護候補リストに載っている物件を壊すようなプロジェクトが起こった場合、その施主がちゃんとした調査とその物件を守るためのミティゲーション(破壊緩和)措置を示さなければならない。

これで次世代に伝えたい大事な物が壊される危険性が著しく減るだろう。

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8.エコヴィレッジをどこに造るか

ロタ島での『アクエイリアス・プロジェクト』のひとつのテーマであるエコヴィレッジ(エコタウン)をどこに造ったらよいのだろう? 一般的には、ソンソン村に隣接させるのがよい。『集中化』によって、同じ利用面積でありながら自然環境へのインパクトが減る(それほど増えない)からだ。しかしながら、ここに大きな問題がある。実はソンソン村はロタ島の本島とウェディング・ケーキ・マウンテンを結ぶ低地にあるのだ(写真)。



地球温暖化により台風が年ごとに大型化している。ロタ島でも多くの家が吹き飛ばされ、今ではほとんどの家がコンクリート造りになってしまった。ところが別の問題がある。大型台風による高波が、ソンソン村を通り抜けるようになったのだ。まだこの被害は大きくないが、将来のことを考えると、エコヴィレッジは高台に設定したい。そこで、標高50m程のテラス状の岩盤の上のカーン地区(Caan)が注目されることになる(写真)。



もしカーン地区が、手付かずのジャングルを切り開かなければならない場所ならエコヴィレッジの建設場所としてふさわしくない。しかし、ここはタロイモやココナッツなどの農地が放棄されたすでに開けた場所だ(写真)。そんなわけで、逆にエコヴィレッジを造ることにより、環境への貢献も同時に期待できよう。



なによりその眺望が素晴らしい(写真)。ここなら私も住みたいと思う。



このカーン地区に、スイス・ドイツでは当たり前になりつつある、建築生物学(バウビオロギー)と建築生態学(バウエコロギー)(注1)を駆使した住みやすく、省エネで、環境負荷が少ない家を建てる(写真2枚)。もちろん、新たに熱帯のロタ島バージョンの開発が必要であるが、基本の考えは同じだ。




エネルギーと資源は可能な限り太陽エネルギー起源の、太陽光、太陽熱、バイオマス、風、雨水、間接熱などを有効利用し、エネルギーのキャリア(運搬)とサーバー(貯蓄)には、世界最先端の水素テクノロジーを使う予定だ。

カーン地区の22,000m2の土地に、一戸建てと2ユニット(2世帯)集合住宅を合計8棟、12ユニットほど(うち1棟2ユニットは管理オフィスと近自然学研究所)を建てる。一戸建ては常住者用、集合住宅は短期と長期滞在者用だろうか。いずれにしても、どの家からも素晴らしい眺望が堪能できる、そんな配置を考える。

このエコヴィレッジには、ハイテクとローテクを組み合わせた最先端のテクノロジーによるエネルギー・システムが導入されるので、専門知識を持ったプロによるしっかりした維持管理が不可欠だ。またそのようなサービスの提供は、エコヴィレッジの住人にとっての大きな安心にもなるだろう。

常住者や滞在者の数が安定すれば、美味しい熱帯のフルーツや新鮮な野菜などをエコヴィレッジの農園から供給することも考えられる。有機農法やパーマカルチャー(注2)を活用した、環境負荷が少なく、健康で、美味しい農産物を安定的に得られるのは大きな魅力だ。

なんともワクワクするようなプロジェクトではないか。

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9.終わりに

ひとつ注意しなければならないのは、ロタ島はチャモロ人たちの島だということ。かつてスペイン、ドイツ、日本、アメリカがやったような、さらには今中国がカジノ建設を通して目論んでいるような、いわゆる植民地化(政治経済的な意味だけではなく、文化的な意味も含めて)を繰り返してはならない。近自然の島を実現しようという今回のプロジェクトがここに住むことになる日本人たちにとって、これからの素晴らしい人生を約束してくれることは間違いないだろう。しかしそれと同時に、チャモロ人たちに豊かな生活をもたらせ、さらに彼らの新しいアイデンティティーの確立を手助けできるなら、こんなに素晴らしいことはないではないか。

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今回で私の連載コラムは終了します。長い間お付き合いしていただき、どうもありがとうございました。コラムの文章とグラフィックは、私の考えに賛同していただける限り、ご自由にお使いになって結構です。ただし、コピーライトを放棄したわけではないので、使われる場合には出所を明記してください。よろしくお願いします。

では、皆さんごきげんよう!


2006年12月13日、スイス近自然学研究所にて


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注1)建築生物学(バウビオロギー Baubiologie)と建築生態学(バウエコロギー Bauoekologie)
建築生物学(バウビオロギー)は住人の健康を重視し、建築生態学(バウエコロギー)はエコバランスを見る。エコバランスとは、エコロジカル・バランス、つまり生態的エネルギー収支という意味。建築、使用、維持、撤去、廃棄物処理などに必要とするエネルギー総量を見て、環境負荷を評価する手法だ。
建築生物学は住人の健康という抽象的なものをターゲットとしているので、数値で比較することが難しい。それに対して、建築生態学はエネルギー使用量という数値化が可能だが、生物の種の多様性や健康や気持良さなど、エネルギーの数値だけでは評価できない要素は含まれないのが難点。
この両者は、目指すところに大きな違いはないが、提唱者の視点が少々異なる。本来は、両方を考慮し、双方の良さを組み合わせることが理想だ。それにより、住人の健康を害さず、環境負荷の少ない快適な建物の建設が可能となる。


注2)パーマカルチャー
パーマネント・アグリカルチャーの略。パーマネントは『永久の』、アグリカルチャーは『農業』という意味。つまり、永続的農業、循環農法とでも訳せようか。
オーストラリアのビル・モルソンが不耕起農法を始めた日本の福岡正信氏の影響を受けて確立したと言われる。真否は不明だが、多くの共通項を持つことは確かだ。
現在一般的な農業は、肥料などの物質を外から投入し、農産物を外へ持ち出すという物質やエネルギーの一過性が基本だが、パーマカルチャーでは、物質の循環を目指す。私が連載コラム7『楽園ロタ島:ゴミは資源だ!』でお話した、物質が太陽エネルギーで循環するというこの世の基本原則を農業で実現するものと言えよう。

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